146 :(名前は掃除されました):2007/11/13(火) 14:55:42 id:bL0B/bYl


ここ一年くらいから物を買わなくなりました。


買い物は楽しみのひとつと知っていましたが、いつの日からかそう思わなくなったのです。
特に衣食住の衣については一年以上何ひとつ買っていません。


そんな風に物を買わなくなり今のところ何ひとつ不便はありません。
却って本当に必要な物にしか愛情が湧かなくなり、身の回りを気前良く処分して気分は
清々としています。


少し考えてみればそのわけは簡単に見えてきます。
今は自然災害、戦争、テロ、事件、政治経済への不信感、景気の不安定といった事が渦巻く毎日です。
明日は何が起こるかわかりません。


そんな暮らしの中、無闇に成長する経済に乗っかり、流行に目をつけ、自分だけ何かを所有したり、
自分だけ飾ったり、自分だけ豊かになることは、いかに寂しく、くだら無いと思うのは人として当たり前と思うのです。


「空を衣装に、大地を枕に」という言葉があります。
「私の」「私のもの」というよろこびは、これからの社会の可能性や能力に対し、すでにリアルさを失っています。


では自分たちを自立させ美しく健全なものにするものは一体何なのでしょう。


心の内側から自然と湧いてくるのは「簡素に生きたい」という精神です。
繁栄、快楽、永遠の進歩を夢見る時代はもう終わっています。
簡素さとは軽やかで気楽で整然とし愛情を表現できることです。


それはバランス、調和、謙虚さを持って、生きとし生けるものの良き隣人になるということです。
真の豊かさとは何ひとつ必要としない暮らしにあります。
この本に書いた文章はそのはじめの一歩と考えています。


松浦弥太郎くちぶえカタログ」はじめに より引用